翻訳家による翻訳できない言葉の話

日本語と英語の狭間で呻吟し、言葉を超えたものに思いを馳せる翻訳家のエッセイ

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Antimoonの6原則(発音)


 Antimoonはネイティヴと同じように発音することの大切さを説いています。発音記号を学ぶこと、イギリス英語かアメリカ英語かを選んで、ネイティヴスピーカーの発音をそのまま真似することを勧めています。

 通じる英語を話すためには、発音はたしかに大切です。わたしもNHKのラジオ講座を聴きながら、ネイティヴスピーカーの発音をそっくり真似したものです。実際に英語を話す場面になったら、それがそのまま役に立ちました。

 Antimoonは、一度に2時間も3時間も、まとまった時間を発音練習に割く必要はないと言っています。わずかな空き時間を見つけて、毎日ほんの数分でかまわないから練習しつづけることが大切だと指摘しています。

 まったくそのとおりだと思います。日本語と英語は、話すときに使う筋肉がちがうようです。わたしはここ20年ほど英語を話す機会がほとんどないので、久しぶりに話すと発音が悪くなっているのを実感します。

 もちろん、英語を話す機会がなくても、毎日10分か15分練習していれば、発音は保てると思います。わたしは英語を話す必要がないので努力を怠っているのですが、その結果が悪い発音になってはっきり表れます。

 発声の仕方も、英語と日本語はちがうと感じます。日本語は強く息を吐くことがないのですが、英語のhの発音などは、息をしっかり吐きます。そういった点も、毎日数分でもきちんとした発音で英語を話す訓練を続けなかったら、感覚が鈍ります。

 イギリス英語かアメリカ英語かのどちらかを選びなさいというAntimoonのアドバイスも、発音の練習をする上では、もちろんそのほうが効率がいいでしょう。聴きとりは両方できたほうがいいですから、どちらの真似をするのかという問題だけですが。

 発音はたしかに大切です。ただし、lとrの発音がうまくできないとコンプレックスを抱いている人がいますが、そういうことはそれほど気にする必要はないと、わたしは思っています。

 「アメリカでアイスクリームを買おうとして、バニラを注文したかったのに発音が悪くて通じなかった」という日本人の体験談を読んだことがあります。バニラはVanillaと書きます。lの音です。vの音も入っています。

 日本語の「バニラ」と言っても、たしかに通じないでしょう。ただし、「ヴァ」ではなくて「バ」の音で、「l」ではなくて日本語の「ラ」の音で発音したとしても、アクセントの位置さえ正しければ通じたのではないかと思います。

 日本語では、「バニラ」は「バ」にアクセントがありますが、英語では「ニ」にアクセントがあります。また、「アイスクリーム」は日本語ではフラットに、すべて同じくらいの強さで発音します。ひょっとしたら、最後の「ム」が一番強いかもしれません。けれど英語では「アイ」にアクセントが来て、「クリ」も強く発音されます。

 単語のなかのどの音節にアクセントが来るのかを学ぶことは、とても大切です。通じるかどうかの分かれ道は、ここにある場合が多いように思います。また、一つのセンテンスのなかでも、強く発音するところと弱く発音するところがあります。日本語と同じ調子で、すべての言葉を同じ強さで発音すると、とても聴きとりにくい英語になるのです。

 発音、アクセント、イントネーションを学ぶには、とにかくネイティヴの発音を真似るしかありません。Antimoonは自分が話す英語を録音して、ネイティヴのものと聴きくらべることも勧めています。わたしはその方法は試したことがありませんが、やってみるのもいいのではないかと思います。

 前回の記事でも書きましたが、正しさにこだわらなければならないのは、あくまでも練習するときです。実際に英語を使う場面では、発音の悪さを気にする必要はありません。どんな発音であろうと、堂々と喋ってください。少々発音が悪くても文脈で意味が通じる場合が多々あります。

 また、一度で通じなかったら、なにを言いたいのかと相手が尋ねてくれるはずです。訊かれたときに、「一度で通じなかった」とショックを受けて黙り込んでしまうのが日本人の悪い癖です。試験ではないのですから、通じるまで身振り手振り、あの手この手を使いながら、何度でも言ってみてください。

 実際に英語を使う場面では、目的はVanillaを正しい発音で口にすることではなく、バニラ・アイスクリームを手に入れることです。言語とは結局のところ、総合力なのだと思います。

 Antimoonの発音に関するページのURLを以下に貼っておきます。
http://www.antimoon.com/how/pronunc.htm

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プロフィール

May

Author:May
翻訳家。フリーランスになって24年。出版翻訳専門。京都府在住。

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