翻訳家による翻訳できない言葉の話

日本語と英語の狭間で呻吟し、言葉を超えたものに思いを馳せる翻訳家のエッセイ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

寄り添う


 翻訳の仕事をしていると、日本語に翻訳しにくい表現にしょっちゅう出くわします。そういう言葉はちょっと心憎いと言いますか、この表現が日本語にもあったらなあと、英語という言語が少し羨ましくなるような表現であることがたびたびです。

 もちろん、その逆も真で、「どうしてこの言葉が英語にはないの? ああ、日本語ができてよかった」と感じる表現もあります。
 そういった言葉を一つ一つこのブログでご紹介していこうと思っているのですが、第一弾はつぎの英語表現です。

My thoughts are with you. 「わたしの思いは、みなさんとともにあります」
I’m thinking of you. 「みなさんのことを思っています」

 どちらも東日本大震災以降、海外から寄せられたメッセージです。つらい思いをしている人にかける英語の決まり文句で、家族を亡くした友人になにか言葉をかけたいときなどによく使われます。

どんな言葉も空々しく響いてしまうときがあるものです。でも黙っていたら、見捨てたと勘違いされるかもしれない。なにか言葉をかけなくては……で、出てくるのが日本語の場合は、「がんばって」とか、「気落ちしないで」だったりします。でも「がんばって」と、つい言葉が口をついて出たあとで、自分の思いと言葉のギャップに居心地の悪さを覚えます。

欧米人はなんでもズバズバ口にして、相手を思いやることが少ないというイメージを持っている日本人が多いかもしれません。けれどこういう英語表現に出くわすと、静かに寄り添いたいという気持ちを欧米の人たちも持っているんだな、とわかります。

黙って人を思いやることは日本人の得意技のような気がするのですが、どういうわけか、厳しい状況に置かれている人に気持ちを伝えたいときに口にしたい表現が、日本語のなかには見つかりません。
見つからないのは、ただ黙するだけ、が日本人だからでしょうか。


このブログのテーマである「言葉」とは直接関係がないのですが、被災された企業を支援する一つの形として、『セキュリテ被災地応援ファンド』という事業が立ち上がっています。アドレスは以下のとおりですので、よろしかったら訪問なさってみてください。
http://oen.securite.jp/

左サイドMenu

プロフィール

May

Author:May
翻訳家。フリーランスになって24年。出版翻訳専門。京都府在住。

全記事表示リンク

メールフォーム

関心を持ってくださってありがとうございます。メールにはお名前をお書き添えください

名前:
メール:
件名:
本文:

アクセスカウンター

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。